医学部受験コラム MEDICAL COLUMN

親子関係

受験生の「緊張」「ストレス」はピーク…親はどうやって接するべき?

2020.01.17

亀井 孝祥
医学部受験予備校メディカ代表

受験生活もいよいよラストスパート。当然、多くの受験生は合格を目指して努力を重ねていますが、なかには残念な結果で終わってしまうケースもあることでしょう。または試験後、「力を出し切れなかった」と思い込み、合格発表前にも関わらず、シュンとしてしまう受験生もいるかもしれません。

そんなとき、家族はどのように接してあげたらよいのでしょうか? センシティブなシーンを乗り切るための心構えについて、先輩受験生たちの声をまとめました。

 

家族や親の対応で「イヤだなぁ」と思ったこと

「寝る間を惜しんで頑張っているのに、家族が無神経な言葉を投げかけてくる…」と悩む受験生は非常に多いです。

たとえば、模擬試験の合否判定に一喜一憂する親の姿は、受験生にとって大変なプレッシャーになります。「結果について叱咤激励されることがとてもイヤだった」という声はよく耳にします。わが子を想った対応なのかもしれませんが、当然お子様もベストを尽くしているはずです。結果が悪かったときは、たまたま不得意な問題が重なったとか、コンディションがよくなかったせいかもしれません。励ますつもりでかけた何気ない言葉が、受験生のやる気を喪失させてしまっているのです。

また、「友達と比較されたことがイヤだった」という声もあります。合格はしたものの、第一志望校でなかったため、「○○君は受かったのに…」と言われた先輩受験生。軽い気持ちによる発言だったのかもしれませんが、深く傷ついたと落胆していました。さらには「お父さんと私は○○大学出身なのに、なぜあなたは落ちたの?」など、親が自分の出身大学を自慢するようなケースも嫌がられています。

無理やり受験から目を背けさせるような提案も賢明ではありません。「受かればどこでもいいから、高望みしないで」などモチベーションが下がる言葉をかけたり、勉強のエンジンがかかっているときに「勉強ばかりしてないで、気晴らしに買い物でも行こう」と誘ったりするのは、お子様のメンタルをよく見極めてからいうべきでしょう。

とはいえ、コミュニケーションの場面で、細かい対応を意識し続けるのは難しいですよね。そこで、先輩受験生の声を参考に「絶対禁句」の10ワードを列挙しました。

絶対禁句!10ヵ条

その1.「頑張って」

特に今の時期、頑張っていない受験生などいません。イライラさせてしまうことのほうが多いでしょう。

その2.「テスト、上手くいった?」

親として最も気になる点ではありますが、「上手くいった?」と聞かれると、ダメだったときに伝えづらくなってしまいます。

その3.「まぁ大丈夫でしょ」

気休めの言葉に、受験生は敏感です。優しさの方向性を意識してください。

その4.「こんな成績じゃ受からないわ」

今までの努力を否定するような発言は避けましょう。励ましているつもりかもしれませんが、却ってモチベーションが下がってしまいます。

その5.いきなり部屋に来て「勉強、どんな調子?」

タイミングの問題かもしれませんが、勉強がはかどっているときに声をかけられるのはストレスになります。突撃は避けましょう。

その6.「私立は学費が高い、予備校代も高い」

お金の愚痴は禁物です。たとえ学費がネックで進学先を変えてほしかったとしても、「こっちの学校のほうが国家試験の合格率が高いみたいだよ」など、違う理由を伝えましょう。

その7.「就職したほうがいいんじゃない?」

医師の未来を全否定することは絶対にやめましょう。

その8.「医学部は諦めたら?」

上記同様、受験生は「医師になる」という大義のもと、勉強に励んでいます。自分の子どもを信じてください。

その9.「○○先生はこう指摘していたよね」

予備校の先生が面談で発言していた言葉を繰り返し伝えるのも、ストレスとなります。受験生本人が一番よくわかっていることでしょう。

その10.「落ちる」「滑る」

受験とはまったく関係ない話題でも、このワードは口にしないように心掛けてください。受験生はナーヴァスですから、他愛ない一言でも不安になってしまいます。

いかがでしょうか。細かすぎてウンザリしてしまうかもしれませんね。そんなときは、受験生が大切にしているのは、「親の言葉」ではなく、「親の態度」であることを再度意識してみてください。

落ち込んだときに心が救われた、家族や親の態度

入試当日であっても、家族がいつもと変わらない対応で試験会場へ送り出すことで、受験生の気持ちが落ち着き、平常心で試験に臨むことができます。

また、結果がいまいちだったとき、「家族がその結果に触れず、責めることもしなかった。いつもと変わらない家族の対応に心が救われた」という先輩受験生もいます。

とある先輩受験生は、第一志望の入試で実力を発揮できませんでした。「お母さんに何て伝えよう…もっと勉強すればよかったのかな…」と悔やみながら帰宅しましたが、保護者の方は成果について何も聞かず、食事を用意して迎えてくれたそうです。それも、自分の大好きなメニュー。「本当に嬉しかった。心がほっこりして、次の受験への励みにもなった」と言います。

たとえ志望校に落ちてしまったとしても、「あなたは頑張った。第一志望だけが大学じゃない。あなたの実力はどこの大学でも発揮できる」と、受験生個人のアイデンティティを認めてあげることが大切です。

わが子を合格へと導く接し方とは?

いつもどおりに振る舞っているつもりが、気づかないうちに受験生の放つ「受験熱」に巻き込まれてしまうものです。

親がよかれと思ってやっていることが、お子様にとって迷惑だったり、戸惑う原因になっていたりすることもしばしば。そこで、受験生を抱えるご家庭で心掛けていただきたいことをまとめました。

「受験に関するアドバイスは一切しない」

勉強面のアドバイスは、予備校に任せましょう。親の時代の勉強法と現代の勉強法は大きく変わっていますし、万が一、先生と勉強法の方向性がずれていたりすると、お子様もどちらに合わせてよいか戸惑ってしまいます。

「価値観が違うことを認める」

数十年前、子どもたちの人気職業はスポーツマンでしたが、今やユーチューバーがトップという時代です。勉強法が変わっていることに加え、社会的な地位の到達点、理想とするビジネス像も、日々変わってきています。お子様が目指すゴールも違えば、受験観や人生観も親とは異なるのです。自分の子どもは分身ではなく、異なる夢や希望を持つ一個人なのです。そのことを認め、わが子の巣立ちを応援してあげましょう。

「子につられてオロオロしない」 

入試が近づくほど、受験生は精神不安定になっていきます。そんなお子様につられて親もオロオロしていては、本人もさらに不安になってしまい、よい結果が出せません。親はどっしりと構え、どんな結果が出ても揺るがない精神で、お子様を包んであげてください。

 

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